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小樽の住宅

■HOUSE in Otaru(小樽)

施主は40代の独身男性で、妹夫婦とその一人娘との二世帯住宅として計画された。1階は三台分の車庫、2階は妹夫婦世帯、そして3階が施主のためのスペースとなっている。2階は南側に居間を中心とし、東、北側にそれぞれ子ども室、寝室を設けた。3階は施主が当時独身で、将来の家族形態、生活スタイルの大きな変化に対応したプランとして提案した。

施主は仕事でドイツに行ったことがある人で、ドイツで見たある建物に感動したことから、外観デザインはそれをイメージしたものにしたいという強い要望があった。それは「バウハウス」であった。具体的にバウハウスのどの建物かははっきりしないが、私はかつてのバウハウス校舎を模したようなものではなく、むしろ現代的な無機質で構成的な線分を用いたスケッチを示したところ、「そんな感じだ」という反応であった。しかしバウハウスのデザインは、椅子に代表されるような工業デザイン、そして美術などデザイン全般にわたりデザイナーの理論も多様である。私は大学時代に購入した鹿島出版会の『バウハウス』を引っ張り出し、あらためてグロピウスの建築理論を復習した。

 

●グロピウスの理論

グロピウスは住宅プランにおいて類型化を提唱した。それは工業に服従するためではなく、社会の内的な精神と生命力の側の熟成が必然的に必要とする新しい形態システムのための言語としての必要性からくるものだった。類型とは外側から与えられるのではなく、社会が内側から生み出すものでなければならないとしている。そこでそのひとつの手法として、グロピウスは「大きな積み木箱」なる概念を提示した。その最小の単位は以下の図1に示すように2層分の居間空間とそれをL字で取り巻く玄関・台所・水廻り・2つの寝室で構成されている。そしてその周辺、上階に必要な諸室を配置するというものだ。

配置図

図2・3はSD選書『バウハウス』(鹿島出版会)に掲載されている概念図である。

類型化の意味は、単位空間の単純化によって住宅についての新しい表象を創出することにあるとグロピウスは主張する。

 

●「HOUSE in Otaru」の3階では、このグロピウスの「積み木箱」理論を採用するのではなく、これを一つの契機として逆の生成過程を試みた。それは最小の単位から出発するのではなく、最大の枠を設定し水廻りゾーンをまとめて中心に据える、即ちコアタイプとしたこと。そしてコアを囲む回遊可能なスペースは生活形態や必要性に応じ間仕切りを設けたり、床を増やしたりできるようなフレキシビリティをもたせた。

●3階平面の構成

プラン図

北西からの模型

北東からの模型